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「スカスカな家だから換気できている」はまちがい。 4

 さて、機械的な換気をうまくやるためには、住まいの気密性能が必要で、これは昨今、騒がれている「密閉空間」という概念とは全く違う意味を持っていると言う事が少しわかって頂けたかもしれません。昔のように野中の一軒家のような建てようだった時代には、全ての窓を全開して、あとは風任せの自然換気でもよかったのですが、お隣さんとひしめき合うように建てられる今の時代の家ではそれもなかなか有効には働きません。それでしっかりと室内の空気を入れ替えるための方法として、17年前に機械式の換気システムの導入が法律で義務づけられたのですが、ここまで読まれた方はお分かりのように、この機械式の換気システムがしっかり機能するためには、空気の流れるルート、つまり出口と入り口がしっかりと定まっている必要があるために、ルートの途中に余計な穴や隙間がないように気密性能を確保するという必要があるのです。「換気するために、隙間を塞ぐ」という言い方になるのが難しいのですが、色々な換気システムの方法で、入り口や出口にファンを付けて、空気を吐き出したり押し入れたりしながら、空気の入れ替えを即するのですが、想定した入り口と出口から上手く出入りするためには、それ以外の余計な部分から出入りしないようにする事が必要な訳です。これまでのストローのお話しはこの部分の説明です。つまり換気には、「気密性能」が大変重要なのですが、この国の建築の基準では、何故か気密性能に関しては余り積極的に基準を定められた事がありません。国の基準には今もその部分は抜け落ちているのですが、これは作り手側の都合と言うか、性能担保が現場の施工性能に完全に委ねられてしまう事と、全戸一つ一つ計測していく以外その性能を担保できない事から来ているのかもしれません。気密性能はC値(隙間相当面積)という値で表現されますが、これはあくまで各戸固有の値で、現場ごとに測定しなければ出てきません。当然の事ながら、弊社は一戸一戸気密測定検査を実施していますが、未だそれをやっていないビルダーも少なくありません。「換気」が出来ている家か否かの判断の初手は、まず全戸気密測定を行っているか否かと言う事になります。カタログの数値は言わば机上の空論で意味がありません。空気の淀む密閉空間にしないためには、住まいの気密性能を担保しなければならないと言う、一見あい矛盾するようなお話し、少しおわかり頂けたでしょうか?(つづく)

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| 住まいづくりのヒント | 07:48 | comments(0) | - |
「スカスカな家だから換気できている」はまちがい。 3

 今回のコロナウイルス拡大の3つの「密」のうちのひとつ、密閉空間とは、まさに隙間のない空間と言うイメージが出来ますが、ご説明してきているように、隙間があったところで換気ができていない空間は沢山ありそうだと言うことはご理解頂けたと思います。きちんとした換気システムが有効に働いていなければ、スカスカな空間もリスクは同じ、いやむしろ高いと言わざるを得ません。また、有効な換気システムが機能するためには、有効な換気ルートのためには、つまり出口と入り口が定まるためには、むしろ吸気排気以外の隙間は邪魔でしかありませんから、空間としての気密性能は上げなければならないという事なのです。

 ここでわかりにくいどっちなのかみたいな難しさがありますが、世間で言う「密閉空間」とは空気が変わらずに室内の空気環境が悪くなる空間の事で、むしろ建物の気密性能とは全く別物の言葉だと理解した方がわかりやすいかもしれません。先日、プロっぽい肩書きの方すら、気密性の高い住宅はリスキーだというようなミスリードをしていましたから、理解には注意が必要です。スカスカな家の中の空気が変わっていない状態を説明していますが、わかりにくければ、鳥かごを想像してください。鳥かごの中にフワフワの綿菓子がはいっている状態をイメージしてみてください。この綿菓子が汚れた空気です。空気は微細な粒というよりは、団子状のかたまりのようなものだとイメージすると近いかもしれません。熱はどんどん逃げて行きます。換気できない鳥かご自体が密閉でなくでも淀んだ空気は、有効な換気システムなくては、そこに淀むのです。

 むしろ積極的に新鮮空気で満たす工夫が必要なのだから、換気システムが必要で、換気システムが有効に働くためには、余計な穴がない気密性能が必要、その性能も、スカスカな家が段々計らずも建材で閉じてきたレベルではなく、もっと桁違いの性能が必要と言う事なのです。(つづく)

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| 住まいづくりのヒント | 07:37 | comments(0) | - |
「スカスカな家だから換気できている」はまちがい。 2

 換気をよくしなさいと言われて「うちはすきま風吹いてスカスカだから、換気は充分できている」というのは間違いだと書きました。これは、昔ながらの和室においても二酸化炭素濃度を継続的に測れば一目瞭然で、隙間から熱は奪われていても期待するほど室内の空気は変わっていないという事が言えるからです。きちんと計画的に換気をしなければ、「隙間で換気」というのはそれ程現実的ではないのです。シックハウスなどが問題になり、2003年、機械式の換気システムが住宅には義務づけされるようになりましたが、それは室内の空気の実態が明らかになってきた結果とも言えます。また、機械換気が機能するためには、住まいの「気密性」が重要なのですが、実態と皆さんのイメージとの微妙なズレが誤解を常に産むので、なかなかわかりにくい部分とも言えます。いわば戦後の住宅は、「計らずも」気密性能が増してきました。新建材である合板やアルミサッシ、ビニールクロスなどの使用によって、それまでの住宅よりは気密性がアップしているのですが、「計らずも」と書いたように意図的に必要な気密性が増した訳ではないので性能としては非常に中途半端な事になっています。昔の工法よりも隙間は減ったのだけれど、換気システムが機能するほどの気密性がない。と言うのが実態なのです。よく、換気システムの説明をする時にストローのお話しをします。コップのジュースを吸い上げるストローのように、入り口と出口が定まっていて、片方から吸い上げれば流体は上がってきます。このストローの途中に穴があいていたらどうでしょうか。推して知るべしですが、一般的に言う昔よりも気密性が増したと言われる住宅の気密性は、まだこの穴が塞がっているほどの気密性能ではないという事なのです。換気システム、つまりストローがきちんと機能するためには、意図した気密性能、それは計らずもの気密性とは桁違いの気密性能が必要だと言う事になります。

 昔の家はスカスカでも窓全開でなければ換気できないといこと。そして戦後の住宅は計らずも気密性が増して来たけれども、それは「計らずも」の世界で、中途半端。機械式換気システムを使って有効に換気するためには、意図したもっとハイレベルな気密性能が求められると言う事なのです。(つづく)

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| - | 07:11 | comments(0) | - |
「スカスカな家だから換気できている」はまちがい。 1

 新型コロナ予防で提唱されている「3つの密」の密閉空間ですが、良く換気を即してと言われます。そんな時に、昔から自虐的に「うちはすきま風吹いてスカスカだから、換気は充分できている」という笑い話をする事がありますが、これは必ずしも正しくありません。単純に室内の二酸化炭素濃度を計測すればわかるのですが、襖障子で囲われただけのような昔ながらの和室空間で、成人男子が一晩寝ると案外驚くほどの濃度になっている事があります。つまり、空気は隙間だらけの空間でも変わっていないと言う事なのです。明からビュウビュウと嵐のように外が強い風の日であればある程度変わりますが、風のない日などは、家の隙間からの換気と言うのはほとんど期待できないのがこの二酸化炭素濃度でわかります。流体の先生などにお伺いすると、案外私たちがイメージするものよりも空気と言うものは重たく、かたまりになっていてそう簡単には動かないと仰られます。よって、スカスカな家でも積極的に換気をしようと思ったら、家じゅぅの窓を全開してしばらくしなければいけません。

 「いやだってこんだけ寒いのに、換気できているでしょ」と反論される方には一にも二にも室内の二酸化炭素濃度を測ってみられるのをお奨めしますが、家の隙間からは、家の外側部分の空気が小刻みに出入りして、室内の熱だけをうばって出入りを繰り返しているのです。それが、家全体の空気を替えるという換気とは別物だと言う理解が必要なのです。寒くても、複数の窓を全開してください。(つづく)

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| 住まいづくりのヒント | 07:08 | comments(0) | - |
まずは座って、ゆーっくり考えよう。5

 この稿の最後です。日々感染者数の発表が増えて、感染拡大が報じられる毎日に、気がめいってしまいますが、今の状況はこれまでの海外報道と照らし合わせてみれば想像はできた事で、むしろここまで数字が押さえられてきたことの方が、作為的な手が加えられていたと見た方がまともに感じられます。今は、少し冷静になって、過信せず、出来る事で自己防衛しなければならない時だと思います。パニックにならずに、「冷静に恐れる」という表現が一番似つかわしいでしょうか。

 さて、これから少し長期戦で、自宅にいて、不要不急の外出を避けると言う日々が続くのではないかと思います。世の中全体の動きが減速して、生産力も落ちていく。そんな中で、私たちの暮らしを下支えする住まいは、極力私たちを守ってくれなければなりません。こんな時だから本当にヒシヒシとそれを感じますが、災害時に地域の体育館の方が安全と言う方法論は今回は通用しないのです。

 私たちを守ってくれるための住まいは、前後80年作り続けられているスクラップアンドビルドの申し子のようなハリボテ住宅ではない事は自明です。例えばエネルギー供給が断続的に止まった時に、瞬時に干上がってしまうような持久力では厳しすぎる。しばらくは、室温キープをしてくれる性能が必要だと言う事になります。私たちが常にお話ししている快適性は、コテコテのメカニカルな高性能ではなく、いわゆる建築物理に根ざした当然の性能を重視しています。それはすなわち非常時は自給率になっていくと言う事です。人生100年時代と言われる現代、20年しかもたない家では余りにも悲しすぎます。また家族と一緒にいる時間が長い今こそ、本当に住まいに必要な機能や間取りあり方を再考するには絶好の機会だと言えるかもしれません。貧な時だから考える事が出来る、本当の住まいを構築してみたいと思いませんか?幸いな事に、考える時間はたっぷりあります。まずは座って、ゆーっくり考えてみましょう。暮らしと住まいをゆっくり再考してみませんか?(おわり)

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| 住まいづくりのヒント | 07:42 | comments(0) | - |
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