「断熱」には必ず「気密」がついてくる。「気密」だけはあっても「断熱」だけはあり得ない。そう言いきってしまいたいほど、この二つの住まいの要素は密接に絡み合っています。計画的な換気もまた、気密がきちんと取れている状態だから可能になる技術です。ショートサーキットと言う言葉がありますが、壁の内外で頻繁に空気が入れ替わる状態であれば、新鮮空気を何処から取り入れ、どのルートを通って排気するかがまさに風任せで自由になりません。出口と入口を定められる事が住まいの内部空間の換気を容易にするのです。ストローでドリンクを飲む時に、ストローに穴があいていたら、どうなるかを想像してみてください。「肺気胸」という病気がありますが、肺に穴があけば、私たちは呼吸がままならなくなります。つまり、気密が取れていなければ、出入口を定める事が出来ずに計画的な空気の入れ替えは困難になっていくのです。良く「この家はスカスカだから換気は取れている」と言い張る方がいらっしやいますが(笑)、二酸化炭素濃度を測定すればすぐ分かる事。結果的にスカスカであっても家の中心部は空気が淀んで変わりません。新鮮な空気に満たされる事なく熱だけが奪われているのが実態なのです。
まとめます。住宅の「断熱」には「気密」が必ずついてくる。その理由は次の三つ。
1.断熱性能をしっかり担保するため、外皮の内外で空気の移動を起こさず、想定の断熱性能を実現するため。
2.結露リスクを最小限にとどめるため。
3.計画換気を実現するため。
この三点が重要です。
気密検査でC値は気になりますが、私がもっと気にするのは、C値よりもむしろn値と言われる特性値。まんべんなく小さな隙間がある分にはまだ大きな被害は出ませんが、何処か集中的に穴があいていれば必ずそこに結露なと施の不具合が産まれるからです。数値ばかりが先走りしても高性能の本来の性能は発揮しません。やはり、施工現場での実態との整合のために、現場で検証していく事が大切だと思います。(おわり)
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