性能基準に確固たる義務基準がない、これまでよりも高性能ということで「エコハウス」「省エネ」という言葉が安易に使われて拡散されていることは、健康被害という認識で「ヒートショック」をとらえれば、もう少し見え方が違ってくるのではないかと思ったりします。明らかに、住まいの断熱性能がバランスよく向上すれば、毎年万人単位で亡くなられている方達の命は危険に晒されなくなります。真冬に無暖房で12℃キープなどまだまだ夢のまた夢ではありますが、少なくともこういう事実を作り手と住まい手の両方で共有していきたいと思います。仮にも先進国と言われて来たこの国の人々が、自宅の室内の暑い寒いで命を落としているのですから、改善しないで良い筈がありません。予算がないからと言って、屋根の防水に手加減を加える住まいを建てますか?雨漏りしても、部屋数や仕上げのグレードを優先しますか?と言うことなのです。何よりも住まいの役目は、衣服を第2の皮膚とするならば、第3の皮膚として厳しい自然の気候条件を和らげ、私たちの身体に対する負荷を軽減するためにあるのではないかと思います。それが出来ずに、何の住まいかという思いがしてなりません。
昨年末から一連の国交省の義務基準見送りで、国による基準の先導は当面望めませんから、やはり作り手である私たちが自主的に情報を拡散して、性能を担保し、安全な住まいの拡大に努めていくしかないと思います。何度も言いますが、この国の省エネ基準では、真冬に無暖房で12℃キープなどという住まいにはなりません。省エネ、エコを謳っている領域でも厳しいでしょう。他国ではこれは人権だと言われています。「どんなに困窮して暖房エネルギーが確保できなくても、命は奪われない」そう聴けば当り前に聞こえますが、この当り前のことがこの国ではまだまだ出来ていないのです。(つづく)
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