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夕べの「スウィングガールズ」 ジャズと建築
 昨日、「スウィングガールズ」という邦画をテレビでやっていた。封切りは昨年か一昨年だったろうか。落ちこぼれ女子高生達がふとしたきっかけからビッグバンドジャズにはまり始めて、演奏を通じて仲間との青春の1ページを謳歌するという青春映画である。私はロードショーと同時に、予告を見ていてこれはと思い、娘を誘ってふたりでレイトショーを観に行った映画だった。
 そもそも私がJAZZにはまり始めたのは、十六歳くらいの事だった。親元を離れて、学生寮に入り、同窓と共同生活をしながら学校生活を満喫するとともにバンド活動に明け暮れた。本当は、中学生の頃から下手のよこづきでギターを抱えてポロンポロンとやることがあって、上の学校に進んだら軽音楽部に入ろうと考えていた。入学入寮とともに各サークルの勧誘合戦はそれは熾烈なもので、寮の部屋には先輩達がお為ごかしに日参し、今から思うと少し滑稽なくらいの新人争奪戦は大人社会の真似事として可愛らしいママゴトだったように思えて微笑ましい。様々な先輩が、勧誘に来たが、中には巧みな話術の先輩もいる。
 「軽音楽の、「軽」ってやつが軟弱だ。君は音楽好きだろう。軽いのでいいやって言うのがさもしい根性だと思わんか。そうか、ギターを習いたい。うちにはエレキギターもベースもばっちり弾ける奴がいるから教えられるぞ。偏見なく何でもやれる」
そう言ったのは吹奏楽部の先輩だった。元来、欲張りな私には的を得た説得力で、成る程、と思っているところへ、「お前、いい肩してるな、ウエイトも丁度良さそうだ。ボクシングやれ!」と少し鼻を潰された独特のボクサーフェイスの先輩がニヤリとにじり寄ってきたものだから、私の心は吹奏楽で決まってしまった。
 部室に行くと、たいしてボクシング部とは変わらなそうな強面な先輩達が私を囲み、「うーん、お前の顔は金管顔だ。唇はと、トロンボーンだな、マウスピースもらってグランドに出てろ」と良くわからない選別にかかって早速特訓が始まった。
 少し学校に慣れてから、バンド仲間と当時まだ辛うじて元気のよかったジャズ喫茶に通うようになった。今から思うと不思議だが、昼ご飯を食べるお金はなくても、今と変わらない値段の珈琲を飲むお金は持っていたから学生とは奇妙なものだ。まあ、当時の大人というものも実に寛大なもので、珈琲一杯で粘りに粘り、やがてカウンターで少しお店を手伝って賄いご飯にまでありつくという始末だから、律儀にお金を払っていたかは甚だ怪しい。むしろ良く、欲しいレコードの為に昼ご飯を抜いた。当時今の私たちくらいの歳の人生の先輩たちから、マイルス・デイビスを習い、ジョン・コルトレーンを聴かされ、その耳は次第にモダンジャズの世界にはまっていった。自分はと言えば、バンドでグレンミラーやベニーグットマンなどのビックバンドジャズのスタンダードを演奏する事も多く、あまり上手ではなかったが仲間とスウィングする魅力に取り憑かれた。コンボ編成のバンドを別に組み、当時隆盛のフュージョンのコピーをやったり、いとまは無かった。
 JAZZの魅力はそこに演奏者の創造的な偶発性が加味されるという事である。同じ曲でも、演奏者、録音日時などによって全く違ってくる。聞き比べるのも楽しみのひとつ。こじつけかも知れないが、少し建築に似ている。クライアントの希望というテーマに対して、設計者や施工者や関係者が自分の立場でプレイする。テーマの伏線をただ辿るだけでは面白くない。微妙にアレンジしながら、意外な展開も含めたアドリブを嫌味の無い程に加えていく。メンバーがそれぞれの立場で楽しむから、全体としてすばらしい曲になる。1つのテーマに対して、無限の答えが待っている。きっと、精神衛生上すこぶる私に合っているのは、そんなところなのかも知れない。
 専門書のJAZZ批評とまではいかななくても、JAZZ好きのブログを巡るだけでも話題は尽きない。曲やプレイヤーのエピソードは、何処までいっても知らない事が多い。そんなところも、建築に似ているのかも知れない。

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| 音楽・アート | 08:55 | comments(0) | trackbacks(1) |
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スウィングガールズ
17人の落ちこぼれ高校生たちがジャズに触れ次第に没頭していく姿を描いた青春ミュージック・コメディ。 山形弁ベタベタでユニークな女子高生たちが魅力的で、ジャズの楽しさが溢れた作品です。
| シアフレ.blog | 2006/08/11 8:24 PM |