2006.08.12 Saturday
「吉村作治の早大エジプト発掘40年展」
福岡市博物館で、「吉村作治の早大エジプト発掘40年展」という展覧会が催されていて観に行く機会があった。吉村作治さんと言えば、日本におけるエジプト考古学の顔であり、そのテレビの露出度からも、まるでタレント並みの人気である。それを反映してか、平日の午前中だというのに会場は老若男女でごった返していた。
その展示物の充実度ではおそらく誰も不満はないだろうし、非常にわかりやすく、ビジュアルに展示された順路は、遠い国エジプトの古代ロマンを想像するに充分な演出だと思う。最近のこの手の展覧会での傾向なのかも知れないが、その映像の活用には驚かされる。プラズマ大画面の映像が、コーナーコーナーに多用されて、リアルな発掘現場や副葬品の拡大画面での開設などを伝えている。勿論、至るとこに吉村作治氏が登場する。最近の大発見である青いマスクをかぶった古代の高等官のミイラに至るまでの、さながらテーマパークのアトラクションのような演出は、おそらく予備知識など何もなくても年齢性別を問わず楽しめるであろう事が想像され、好感が持てた。
ただ、ひとつだけ言える事があるとすれば、その裏返しの事である。人間の想像力は、その仕掛けが大仕掛けであればある程、その仕掛けに依存してしまい陳腐化してしまう。あまりにも親切に、ビジュアルなだけに私などはそれ以上の世界を夢想する隙間を探し出す事が出来なかった。例えば、小指の先ほどの大きさのコバルトブルーの護符の彫刻を見ただけで、あるいは当時の事を描いた数行の文章を読んだだけで、永遠の命を信じ生まれ変わったあとの事にまで思いを馳せた古代エジプトの人々の息づかいや、きっと今と変わらない彼らの日常を想像するという事が起こりにくい気がした。小見出しの歴史を理解するにはとても有効だが、安全ガラスを隔てたこちら側からの観察のように思えて肉薄してこない。何とも贅沢な我が儘だからご容赦願いたい。
世はまさに何もかもがアミューズメントパークだ。良く言えば、いつもテレビで拝見する吉村作治氏のサービス精神の賜物であると思うし、有り難くも致し方ない事なのかも知れない。しかし、展覧会の冒頭で明らかになる、幼き吉村作治少年が遠いエジプトに夢を描いたそのきっかけは、当時、寂しさまぎれに手にした少年少女向きのツタンカーメンの事を描いた一冊の何気ない本であった事を、私たちは見逃し忘れてはいけないだろうと思う。多分に持続する熱、うなされるようなエネルギーは、小さなたわいもないきっかけを、自分の中でメラメラと燃やし続ける事であるのではないかと思うからである。
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その展示物の充実度ではおそらく誰も不満はないだろうし、非常にわかりやすく、ビジュアルに展示された順路は、遠い国エジプトの古代ロマンを想像するに充分な演出だと思う。最近のこの手の展覧会での傾向なのかも知れないが、その映像の活用には驚かされる。プラズマ大画面の映像が、コーナーコーナーに多用されて、リアルな発掘現場や副葬品の拡大画面での開設などを伝えている。勿論、至るとこに吉村作治氏が登場する。最近の大発見である青いマスクをかぶった古代の高等官のミイラに至るまでの、さながらテーマパークのアトラクションのような演出は、おそらく予備知識など何もなくても年齢性別を問わず楽しめるであろう事が想像され、好感が持てた。
ただ、ひとつだけ言える事があるとすれば、その裏返しの事である。人間の想像力は、その仕掛けが大仕掛けであればある程、その仕掛けに依存してしまい陳腐化してしまう。あまりにも親切に、ビジュアルなだけに私などはそれ以上の世界を夢想する隙間を探し出す事が出来なかった。例えば、小指の先ほどの大きさのコバルトブルーの護符の彫刻を見ただけで、あるいは当時の事を描いた数行の文章を読んだだけで、永遠の命を信じ生まれ変わったあとの事にまで思いを馳せた古代エジプトの人々の息づかいや、きっと今と変わらない彼らの日常を想像するという事が起こりにくい気がした。小見出しの歴史を理解するにはとても有効だが、安全ガラスを隔てたこちら側からの観察のように思えて肉薄してこない。何とも贅沢な我が儘だからご容赦願いたい。
世はまさに何もかもがアミューズメントパークだ。良く言えば、いつもテレビで拝見する吉村作治氏のサービス精神の賜物であると思うし、有り難くも致し方ない事なのかも知れない。しかし、展覧会の冒頭で明らかになる、幼き吉村作治少年が遠いエジプトに夢を描いたそのきっかけは、当時、寂しさまぎれに手にした少年少女向きのツタンカーメンの事を描いた一冊の何気ない本であった事を、私たちは見逃し忘れてはいけないだろうと思う。多分に持続する熱、うなされるようなエネルギーは、小さなたわいもないきっかけを、自分の中でメラメラと燃やし続ける事であるのではないかと思うからである。
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