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東京大停電を思う
 東京が大停電にみまわれた。新交通システム「ゆりかもめ」をはじめ、JRや東京メトロも一時停止状態、広範囲の信号機も止まり道路交通も麻痺。70件余りのエレベーターに人が閉じこめられる事故も発生した。実に東京周辺140万戸が停電となり、バイパスによる復旧まで3時間あまりがかかったという。原因は意外にも単純な事故で、千葉県浦安付近の川を横切る2本の送電線をクレーン船が過って傷つけるという事故が起こったため。首都東京という大都市の複雑な機能を支える送電システムに有効なバックアップはなかったのかと疑問に思うが、あったとしても今回はそれが旨く機能しなかったということらしい。
 私たちの日常は東京に限らず電気エネルギーに依存している部分が大きい。当然のごとく使用している電力が突然途絶えた事によって、その基盤が、案外もろいものである事が露呈した。首都東京の送電さえ、2本の送電線が傷ついた事でストップしてしまうのだ。信号も、エレベーターも、地下鉄も、当然のごとく動いてるものがダウンしてしまえば、都市に住む一人の人間の能力など、どれ程ちっぽけなものだろうか。線路伝いに歩く人々、地下から延々と続く動かないエスカレーターを少し前屈みに上ってく人々をテレビカメラが追っていたが、それはちっぽけな蟻のようにも見えて象徴的だった。一見何重にもバックアップ体制がかかっていて、こちらがダメならばあちらにと用意周到に備えられている筈だと思っているのは、実は安心を得る為の集団催眠、錯覚かも知れない。世の中のシステムなどというものは所詮人が考えた事だから、単純で嘘のような大多数の思い込みによって何とか成立している事が多いように思えてならない。3時間あまりで復旧という時間を早いと取るか遅いと取るかは別として、昨今の原油の値上がりも含めて、私たちはエネルギー事情について少し考えなければならない時に来ているのではないだろうか。
 以前、知人に教えてもらい読んだ本の中に、石川英輔著「2050年は江戸時代」という本がある。SF小説仕立てになっているが、サイエンスの分野に明るい著者がやがて石油が枯渇し、エネルギー事情が大きく衰弱した数十年後の日本を描いている面白い本だ。勿論、今と同じ都市生活は不可能になり、人々は徒歩という手段を使った江戸時代並みのテリトリーの再構築を行い、徹底したリサイクルと自然循環を駆使した生き方を強いられていくという内容である。遠い中国の野菜もオーストラリアの牛肉も届かなくなるから、土を耕し、自ら出来るものは生産し、暮らさなければならなくなる。私はこの本を読んだときに、悲壮感よりもむしろ、そうなってもしたたかに生きる人間像が想像出来て元気になった事を覚えている。
 私たちはかなりの割合の「虚」が含まれた世界を享受している。バブリーな経済しかり、インターネットの世界しかり。「実」の世界の副産物として「虚」の世界を精一杯楽しむ事も悪くはないが、むしろ現代は「虚」の方が「実」よりも存在感を増し、どうかすると「実」がぞんざいに扱われてしまう事があるが、それが問題で社会に大きなひずみを生んでいる。エネルギーが途絶え始め、脹れ菓子のように膨らんだ「虚」の世界が、霧散してしまえば、日本の国民が皆、お百姓に戻る瞬間がやってくるのかも知れない。お百姓とは、実は単に農民の事を表す言葉ではない。江戸時代各藩が推進した殖産産業をはじめとする手工業の職人達も十分含まれ、百の姓と書くがごとくあらゆる生産従事者がこの中に入る。一次的なものづくりをする人間が日向に迎えられ、無から有を生む行為が尊敬される社会と考えれば、そんなに暗くもない未来なのかなと思ってしまう。昔の人は旨い事言った。色即是空。空即是色。いずれにしても、この一見華やかだが、紙一重て危うい現代社会の中で、何が起ころうとも心乱さず、豊かに生きることが出来るかどうかを試されているようでならない。電気がなければろうそくの炎を楽しもう。月明かりの明るさを再び味わおうくらいの、暮らしの余裕は是非欲しいものである。ヒステリックにならない為には、人間は錆び付かないいくつかのチャンネルを持っている必要がある。この際だから、電気をあてにしないというチャンネルも、是非加えたいものである。
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| 社会・事件 | 08:45 | comments(0) | trackbacks(1) |
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当事者になってみて
追加情報をコメントに書きました。今回の停電で、エレベーターが、また、止まったそうです。
| Medical Marketing Lab.  | 2006/08/16 9:12 AM |