2017.06.11 Sunday
ジメジメの梅雨をどう乗り切るか。1
いよいよ九州も梅雨入りし、じめじめな季節の本番となりました。私たちが暮らす環境は、温度・湿度・それから風の強さなどで快適な度合いが随時変わっていくのですが、この季節のどんよりした、肌にまとわりつくような湿気は、どなたでも不快の象徴として共通の認識だと思います。特に関西以西では、この時期の過ごしやすさが冬の寒さと同様、住まいの快適性のバロメーターかもしれません。空気の単位体積あたり、水蒸気を抱えていられる量と言うのは絶対で、空気の温度によって、冷えれば体積が収縮するので水蒸気を抱えきれずに結露を起こすという事になります。住まいのそこここで結露を起こせば、それは腐朽菌やカビの巣窟となって不衛生ですし、建物も劣化するということになります。何れにしても、私たちはこの湿気を積極的にコントロールする術を近代まで持ち合わせていませんでした。兼好法師の「住まいは夏を旨とスべし」と言う言葉は、とにかく熱気と湿気が家の中に溜まったら、風が起き通風するような家にしておかなければ、蒸し暑くて溜まらないという経験値が言わせた台詞です。昨今はエアコンと言う利器をもっていますから、必ずしも他の不快感よりも優先して解決する事でもなくなってきました。つまり冬の寒さも、空気の鮮度を犠牲にしても夏向きのスカスカの家にしなければならないと言う定義も揺るいできている訳です。室町の京都のうだるような暑さの中のつぶやきだと理解しなければ、先に進みません。以前お年を召したご夫妻の住まいを建てさせていただいた時に、定期検査で奥様が「今年は梅雨を知らなかった」と喜ばれたのは印象的でした。梅雨をどう乗り切るかと言うお話です。(つづく)
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