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【追悼】梅原猛氏の訃報を想う。

 本日、梅原猛さんの訃報が目に飛び込んで来た。享年93歳。お歳を想えば致し方ないのかもしれないが、つたないこの私の人生に大きな影響を与えてくださった哲学者の訃報に、何だか残念で仕方がない。学生時代、母校の当時の学科長が京大出だったこともあり、事あるごとに同じ京大の哲学者の氏の著作を紹介してくれた。なかでも「隠された十字架 - 法隆寺論 - 」は、緒論ある法隆寺の建立年代を、歴史的事実と古文書、建築様式、などをふまえながら、当時の人々の活き活きとした感情をも理解しようと言う視点で、推理小説のように推論を進めていく面白さは、多感な私にはのめり込むのに充分な魅力を放っていた一冊と言って良い。

 その後、私は伝統建築の世界に興味を持ち、和辻哲郎宅に住み継ぎ哲学の道を散策する氏の居る京都を最初の仕事の場とするのである。吐露するが、哲学の道をあらぬ期待で歩いたことが2度ほどである。今から想えば、アイドルの追っかけまがいである(笑)。

 これにはもうひとつ前話があって、私は当時急成長の準大手ゼネコンを志望して試験を受けた。その学科長にも相談をしていた。彼は「この学校からの入社歴はないが自分の同窓がいるのでよく頼んでおく。行ってこい」と送り出してくださったのだ。自信満々に受けたが結果は不採用だった。その年応募した高専卒の採用はなかったとあとで伺った。今から想えば人生最初の大きな挫折だが、そこから私の人生は転がって今に至る。

 反骨精神から大手では出来ない仕事を覚えると社寺の会社に入り、京都時代、沢山の他では絶対に得られない経験をさせて頂いた。休みの度に、京都を起点に洛内のみならず奈良、斑鳩にも足を伸ばし色々なものを見て回った。氏の影響で、アルカイックスマイルをたたえる百済観音は、今でも私の永遠のマドンナである。彼のアイヌ文化に対する著作にも影響を受けて、奥日高二風谷まで旅したこともある。

 彼は歴史学、考古学、文化人類学の枠を越えて、様々なフィールドで緒論を展開されてきた。時には専門学者から批判的な意見も出たが、私にその是非を判断する見地は持ち得ない。ただ、私はその人間臭い視点が大好きなのである。苔むした歴史を観る時に、あるいは形骸化する前の宗教を探る時に、古文書の字面の整然とした羅列には人の息使いは感じ取れない。しかし、事実はもっとどろどろと生身の人間の感情や行動が織り込まれた結果の歴史ではないか。彼の一貫した視点はそういう体温を感じる視点ではないかと想う。政争で失脚した人々が怨恨をこの世に残し後の世に祟り神として神格化されていくという視点はまさにそう言う血の温度を推考した結論なのではないかと想う。「日本人」という自分も含むこの民族の正体は、一体なんなのだろうかを問い続けられた。環境問題にも造詣が深く、反原発で、憲法9条の会を牽引された。

 何だか、刷新すればすべてが正しい道だと言わんばかりに、暴走する社会の歪みが著しい昨今の社会状況からすれば、残された私たちはよほどの覚悟で日々を送らなければならないのではないかと想ったりする。暖かい、人間の温度を忘れてはならない。訃報に深い悲しみとともに、50余年の私の人生を随分暖かく豊かなものにしてくださった彼に感謝し、そんなことを想う連休最後の日である。読み返してみるか。合掌。

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| 歴史・文化・旅 | 16:14 | comments(0) | trackbacks(0) |
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