それでは、「愛着」いうものはどんなものでしょうか。ひと言で言えば、「思い」なのです。どれだけその住まいに思いをかけられるかと言う事なのですが、最近の風潮としてあらゆるモノ・コトがドライに片付けられて、安近短が理想とするなかで思いを込めていくことはなかなか難しい。ひとえに、貨幣価値と言う一元的な価値観で結果だけで物事を進めれば、「思い」などというものは置き去りにされていく事は自明の事なのです。私は逆に、住まいづくりは「プロセス」だと言います。誰とどう考えて、どんな時間を使って、どう一つ一つ納得しながら住まいづくりをしたかが大切なのだと想います。「いくらで、どんな性能の住まいをどれくらい短期間で建てるか」というところばかりが問われますが、それはプロセスを無視した物差しだと想います。建ってしまえばそれで終わりであればそれで構わないのですが、実は住まいは出来上がってからが始まりです。住まい始めてからどんどん愛着が増していくような住まいづくりをしたいものです。最近の傾向として、「いくらでどんな性能でどれくらいの時間で建つのか」と矢継ぎ早に質問をされるのですが、こちらから「ではどんな住まいを建てたいのですか?」とお伺いするとなかなか返答が返って来ないと言う場合が少なくありません.申し上げたように、一元的な結果に注視するあまり、住まいの本来のあり方に関しては、骨抜きになってしまうという事だと想います。その部分が不安で仕方ない業界の責任も大きいのですが、本来住まいはどんな暮らしをするために、どんな住まいを建てるかと言う事が一番大切です。
弊社ではまず、かなり詳細なアンケートで情報共有をした上で、価値観を共有するべく様々な話題のお話しをさせて頂きます。その上で、そう言う暮らしにはこんな住まいが良いのではないかと言う提案をしていくのです。具体的に、「どんな住まいか」の部分は我々が知恵を搾り分担するとして、「どんな暮らしをするか」の部分をじっくり考えて頂きたい。「考えない事が便利」という風潮は蔓延していますが、こと「住まい」に関しては、それではフィット感と愛着に繋がっていかないのだと想います。(つづく)
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