世はまさにゴールデンウィークまっただ中だが、言うに及ばず私にはとんとご縁がない。事務所に籠城し追われている仕事に集中する事になりそうだが、この時期の福岡の都心部は人、人、人でごった返す「博多どんたく」があるから,私などもう何年も遊びに街を出歩いた事がない。新聞には、出足日本一の記事が踊る事が例年だが、リオのカーニバルよろしく企業のパレード合戦の体をなしている今のどんたくは、やはりエリア外の方をお迎えする都市のお祭りとして、全国区で名が売れて栄えているのかも知れないなどと思う。
現在の福岡市は、かつて城下町の福岡と商人町の博多部とに別れていた。太閤検地以降、気骨な商人たち集団である博多と、その統治を徳川時代になって仰せつかり南の島津に対する三段構えとして赴任した黒田五十二万石の城下町とは、もしかすると、どことなく反目した空気を持っていたのかも知れない。古くはお城に商人たちが松囃子で練り歩きながらお年賀をしたのが起源というが、黒田の時代になってからは、一年に一度、お殿様が、博多商人を城下町に迎え入れ無礼講を許し交流を深めたのが「どんたく」のもとだという。「どんたく」は、オランダの「ゾンターク」休日を意味する言葉だというから異国情緒も相まって人々のお祭り気分は盛り上がる。
私の子供の頃のどんたくは、当時まだ走っていた路面電車のイルミネーション、「花電車」と、「ボンチ可愛ヤ、ネンネしな」の松囃子、そしてユーモラスなお面をかぶって洒落を連発する「博多にわか」という印象だった。夕暮れ時から街に繰り出し、渡辺通を練る花電車の光のパレードは子供心にも何だかワクワクと胸躍るものがあった。
当時の風景は少しばかり色あせて、セピア色に感じる。今はアジアの交流都市福岡の国際的なお祭りである。路面電車もなくなり、イルミネーションはバスに変わった。松囃子は軽快なカーニバルの音楽、博多にわかは中央から下ってくるバラエティー芸人と言ったところだろうか。いずれにしても、お祭りに興じる春のうきうき感に変わりはないのだろうが。
今年は埃も立たないテレビ中継で我慢するとするか.... 。
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