知人に頂いたチケットが気になっていたリートフェルトの展覧会に顔を出した。ささやかな、と言えば語弊があるが、いい意味でこじんまりとしたその展覧会は、誰もが知る椅子「レッド&ブルー」や彼の原色を巧みに使った家具の出発点ともなった知人の子供用の家具、そのデザイン言語を大きく空間とした「シュロイダー邸」の模型など、その人となりを表現するには無駄もなく十分なものだった。
ディ・スティール運動の一員として当時のニューデザインを牽引した彼は、机の上と言うよりは実戦派であり経験の人であったと紹介される。一枚のシンプルの板が、あるいは一定の長さの何本かの角材が、無駄なく組み合わせる事によって美しい立体家具になっていく様は、今眺めていても気持ちのよいものである。
私なども、一枚のスケッチや図面を描くときに常に意識するのは、材料の歩留りである。依頼者から頂いたコストを余すなく最大限に利用して、何かを創り出そうとする意識は、ひいては、過度な贅肉をそぎ落としたシンプルな清潔なデザインに結びつかないだろうか。学生への課題で、サブロク板の面材を余すなく使った家具のデザインなどと言う課題も良く出したものだが、この辺りの事がうまくできるとデザインは大変面白い行為になって来る。
まさにリートフェルトの清潔な印象のデザインは、実戦的経験学に導かれた、効率的な一つの真理として美しいのかも知れないと思った。
◆さて本日のランキングは。読んだらココをクリックお願い!!→