国の税法が木造住宅を過小評価している事は庶民に取ってはラッキーな事だと言えます。ただ、一口に木造と言っても20年で建替える量産住宅では歯が立ちません。このラッキーを享受するには、50年、100年ベースで考える事が可能な劣化対策と、今後長期に渡って陳腐化しない性能が必要だと言えます。東京オリンピックだ万博だの刺激で全体の景気を浮揚しようと国は躍起ですが、それが招く建材の価格高騰と人材難は避けられず、私たちの住まいづくりは厳しい現実の中にあります。その上で問答無用の8%やがての10%の消費税ですから予算圧迫の一途です。ここで考えなければならないのは、絶対に中途半端な性能とこれまでの発想のショートサイクルな住まいづくりは、住まい手に取って何一つメリットがないと言う事です。2020年、遅ればせながら省エネ住宅関連の法律改正が施行になりますが、それも最低の基準が決まるだけのものでしかありません。住まい手は認識を新たにして自己防衛が必要なのです。私たちも一所懸命に限られた予算の中での性能アップをしていきますが、これから住まいづくりをしようと考えられている方達には、この部分を良く良く考えていただきたいと思うのです。
例えば、40坪の見た目だけの空間を、終始タダ漏れのエネルギー消費で快適性もなく暮らす事よりも、30坪のエネルギー消費のわずかな空間で安定の快適性で豊かに暮らす事を選択してほしいと思います。都心部に高価格な土地を求めて上物に20年で使えなくなる陳腐な建物を建てるくらいなら、その半分以下の予算で共同住宅の専有部分をゼロエネ化する選択をしてほしいと思います。これらの発想は、今までの既成概念からは導き出せないかもしれません。ただ、世の中が激変していくこれから、大きく発想の転換が必要なのだと思います。一般の方達が想いもよらないほど、実は建物の性能を担保する技術は進んでいます
。その事を少しでもひろめていく事が、私の仕事の一つだと思っています。(つづく)
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