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無二なるもの...。3

 無二なるものとはどんなものかと考えた場合、それは時間と言うプロセスを伴ったものだという事が出来るかもしれません。万人に向けてではなくとも、その人にとって無二なるものがどれだけあるかという事が大切なのだと思います。コピー量産したものに囲まれて、あらかじめ用意されたパターンの情報にまみれて、何となく日々が過ぎて行く中で、私たちは何となく満たされない想いを抱えています。この数十年、この国は「便利」と言うキーワードのために邁進してきたのかもしれません。それと引き換えに、置き去りにしてきたものも多いのです。

 このコラムでも一度ご紹介した事があるのですが、私の事務所のデスクトップには、ボロボロの三省堂版の金田一春彦の国語辞典ポケット判が置いてあります。表紙など何度も修復してすでにありません。実に48年前、無学な母が私の小学校入学の時に買い与えたものです。身体が小さかった私に重い辞書は辛かろうという単純な理由で、また子供用ではすぐ使えなくなり勿体ないだろうという理由から、彼女なりの選択でした。随分乱暴な話で、大人の辞書が子どもに使える訳ではありませんから、学校では結構苦労した事を覚えています。ただ、母のかけてくれた想いは無下にできずにずっと黙って使っていました。そして今も、変わらず手元にあります。のちに広辞苑なども揃えてありますが、簡単な漢字の確認はこれで事足ります。もしかすると、言葉を少し結構大切に思えるのは、この字引きのお陰かもしれません。きっと生涯手放すこしはないと思いますが、何でもないボロボロの字引きが、まさにプロセスが染み付いた私だけの逸品なのです。日常起こる雑多な事も、そう言うプロセスのひとつであり、人と人との出会いもまたプロセスです。ドライな人間関係がもしかすると主流なのかもしれませんが、私はどうも馴染みません。信頼関係などと言うものはまさにこのプロセスの積み重ねなのですから。手入れをすれば馴染む革ものなどが好きなのも、そう言う理由からかも知れません。ものもことも、時間に濾過されると本来の価値が湧いてきます。(つづく)

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| - | 07:24 | comments(0) | trackbacks(0) |
無二なるもの...。2

 全く同じものが、大量に量産されて、それを当然のように消費し続ける社会などというものは、おそらく長い人類の歴史の中でも大変希有な瞬間ではないだろうかと思います。当り前のように、同じものが消費しても消費しても出てくるという状態は、良く考えれば気持ちの悪いものです。ただ、その生産プロセスも消費地からはどんどん見えなくなっているので、私たちは消費に「ためらい」と言うものを持たなくなってしまっている。本当は、ものもことも、大変なプロセスを経て目の前に現れているのに、そこがすっかり抜け落ちてしまっているのです。

 「無二なるもの」というタイトルを付けましたが、まさに今、私たちは本来である筈の「無二なるもの」から遠ざかった暮らしをしていると言う事も出来ます。私たちの周りの無二なるものの筆頭は「命」。生きている人や動植物は無数ありますが、あなたと言う命は固有で無二のものです。まずは何よりもそれを大切に扱わなければ私たちひとりひとりに幸福はありません。自分の命を大切に出来ないから、他の命も大切に思えません。消費することに慣れきってしまっている「今」の大問題だと思います。昨今は、政治家が陣取りゲームのように戦争を語り、「国」を語る時に国民ひとりひとりの命を軽んじ意識していない気がしてしまうのには本当に辟易です。何処かの工場で再生量産出来ると思ってでもいるのかと疑いたくなりますが、一個人の命の重さを考えれば、今のような政治は決してないと思ったりします。ひとつひとつのものも、プロセスが重ねられれば無二なるものになってきます。ある人にとっては何でもないものであっても、ある人にとっては唯一無二のものになります。そういう「もの・こと」に囲まれた人生こそが、幸福と言えるのではないかと思うのです。(つづく)

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| 住まいづくりのヒント | 07:28 | comments(0) | trackbacks(0) |
無二なるもの...。1

 季節は日中はまだ暑いですが、朝晩などは晩夏から少しずつ秋の気配を感じるようになってきました。以前よりは、夏と冬の気候の激しさが際立って、情緒的に安らげる要素が減ってきてしまっていますが、本来この国の四季の移ろいの美しさは、冬から春へ、夏から秋への変化だと思いますから、意識してそれを感じたいものです。

 さて、何となくですが近年の日本人はそういう、微に入り細に入り状況の変化を情緒に写し取って、諸行無常の儚さを思うと言う感覚に鈍くなってきているのかもしれません。あらゆる「もの・こと」が、通り一辺倒の想定内で満たされている事は表層的には便利ですが、「豊かか?」と問われれば、この70年の経済発展とは裏腹な一抹の寂寥感を抱いてしまう方も少なくないのではないでしょうか。要は、想定内のお仕着せの「もの・こと」で時が過ぎて行くと言う事は、一見当り前のように思えますが、実は不自然で、日々刻々と千変万化して行くほうが自然なのです。日常がそういう変化とは距離を置く暮らしとなってしまっています。「消費」するものが全国区のコンビニやスーパーには溢れていて、なくなれば、何の躊躇もなく同じものを買い求めるという世の中になっています。これは、いわゆる「定番」という選択の果てのスタンタードとはちょっとニュアンスが違います。選択すら出来ていない思考停止が蔓延しているのです。買うと言うより何となく買っているというより買わされている。おそらく、そんなところに日常のやるせなさの根源があるのかもしれません。(つづく)

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| 住まいづくりのヒント | 13:36 | comments(0) | trackbacks(0) |
「日本の家展」

 PHJアジアカンファレンスメインフォーラムのために上京したために、国立近代美術館で開催している「日本の家 1945年以降の建築と暮らし」展に伺う事が出来ました。近頃、建築雑誌などを殆ど手にしない私にとって、久しぶりに住まいを近代建築の系譜の一端としてとらえる事の出来る有意義な時間でした。戦災の焼け野原から、国民の復興意欲に支えられて発展を遂げてきたこの国の、言わば華々しい歴史の一面です。私的には、学生時代から業界に入って間もない頃、出ている雑誌は片っ端から目を通し、自分の見識に漏れはないか(何処までやっても漏れ漏れなのですが笑)自意識過剰な強迫観念から焦りまくっていた頃に、各紙の誌面をにぎわしていたスター達のオンパレードは、懐かしくもあり、自分自身の歴史でもあり大変面白いものでした。西洋のモダニズムに触発された愛弟子達が日本各地に散らばり、やがてポストモダンを模索しながらその仕事は、「建築家」という極めて私的な個性を慮る時代に突入して、各地方に建築家先生が乱立して行きます。重たい象徴的な建築はやがて軽快で存在感を希薄にし、あたかも空気中に浮遊するような表現もみられ、そのうち作家先生も段々時代に置き去りにされて行く。私の修業時代はまさに地方建築家乱立のアトリエが跋扈する時代で、いい意味でも悪い意味でも少々我儘な作家先生たちを尻目に、自分の行き先が見えない時代でした。ただただ懐かしい日々です。

 あえて少し冷めた目で、俯瞰で展覧会をみれば、極めて特殊解の建築家の仕事の照会に終始されて、圧倒的に大量にこの国土に建ち続けてきた、本来庶民が暮らしている◯◯ハウス、◯◯ホームの「家」とは別物であると言うことです。私自身、「家」はやはり「建築」でなければならないと密かに思い続けている者のひとりですが、もはや建築でもなく、商品となり、消費の対象になってしまったものが、この国の人々の暮らしのための器の大半であるとすれば、そこを改めて行かなければなりません。ただ、これから起こる人口減少と高齢化は国家にそれほどの余力を与えず、攻めから守りの体制に入って行かざるを得ない時代にあることも事実です。最近、色々な分野で「昭和」を懐かしむセンチメンタリズムが大変受けるのですが、ただ、もうあの右肩上がりはそうそう望めないところからスタートしなければ間違いを起こします。展示の中で個々に照会されている住宅建築が国土を埋めているのであればまだしも...。さていかにしてこれから住宅建築を「建築」に高めて行くか、賭場口にいるも者のひとりとして大変良いおさらいの機会となりました。

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| 建築・デザイン | 09:53 | comments(0) | trackbacks(0) |
第二回パッシブハウスアジアカファレンス参加!!

 8月25日は東京大学伊藤記念ホールにて、PHJ主催の「第二回パッシブハウス・アジアカンファレンス」にスタッフのひとりとして参加して参りました。2014年のドイツパッシブハウス研究所ファイスト博士の来日以来、今回は、湿度分野ご専門のユルゲンシュニーダース博士をお招きしての国際イベントとなりました。アジアの韓国・中国・台湾各国のパッシブハウスの雄をゲストスピーカーとして招致、ともに温度と共に湿度を最大の課題としながら、快適で省エネな空間の構築に日々邁進しておられる方達が一同に会しての歴史的なカンファレンスとなりました。ファイスト博士のビデオメッセージに始り、博士をはじめ各スピーカーのご講演、日本から、森代表、松尾理事とともに、東大前先生にもご登壇いただきのパネルディスカッションでは、見事な演出に会場は和やかな雰囲気の中で、忌憚のない意見交換がなされました。2年越し準備の中で、本国での国際カンファレンスの雰囲気を少しでもという想いを現実化してきました。例えば実務レベルの企業ブースや、休憩時間のフリーフード・ドリンクのビッフェスタイル。そこで広がる参加者の自由なコミュニケーションの機会など、まだまだ課題はありながらも参加者の皆様には体験の一端を愉しんでいただけたかと思います。皆さんで課題とスキルを共有するという機会であるとともに、こんなにも沢山の方達が、しかも日本を飛び出してアジアと言う広いエリアで同じ課題に東奔西走していると言うことを認識し、大きな後ろ盾を感じる事が出来たことはきっと皆様にとって意味深い時間だったと確信します。

 「そこまでいるの?」「それはドイツの話でしょ」と言うお話は、今でもよく耳にする常套句です。少なくとも、今回の350余名の皆様とは異なる認識が共有できました。さて、福岡に戻り、地道な実務にこれを活かして参ります。

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| 住まいづくりのヒント | 10:27 | comments(0) | trackbacks(0) |
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