最近良く思うのは、この国は何だか大切にするべきものをやすやすと消費して、さしてこだわる必要もない事の方に価値観が流れてしまっている、そんな気がします。およそ「建築」などという巨大な人工物を、作っては壊しするのを色々な意味でロスだと言わないで何だと言うのでしょうか。海外旅行などして伝統的な街並を目にすると、こぞって街並が奇麗だと憧れを語りますが、あれはやはりその街の人々の日々の努力の賜物なのです。私たちは、日々の消費に忙しくて、そう言う努力を怠ってきたのではないでしょうか。リフォーム・リノベと言う言葉は、なんとなくベースの古いものを少し蔑ろにしてしまう感じがしてしまうのは私の思い込みかもしれませんが、言葉すらも消費してしまい手垢まみれにしてしまう近年のこの国の風潮からかも知れません。レトロフィットは、まず古いものに帯する畏敬の念があり、そこに先進技術を加える事で、古きものが活き活きと延命し、現役として存在し続けるための設えなのです。べたべたと表層を張り替えたり、安易にカバーするのではなく、構造や設備や性能が向上し、耐性が増すような発想です。何となく先細りの延命ではなくて、新たな価値を付加して再生する事が大切なのだと思います。これからは、巷にレトロフィットの素材が溢れます。見向き魅しなくなった老朽化したマンションやゴーストタウンになったニュータウンの戸建て住宅。街ごとその必要性があるものもごろごろと出てくる時代になると思います。そういう意味では宝の山。技量を磨きつつ、私もレトロフィットに積極的に取り組んでいきたいと思います。(おわり)
※あなたのPC・スマホからのワンクリックが励みです。笑
←ここも!ここも!