快適な温熱環境のための条件として、その住まいの根本的な温熱性能が一定以上高い事は必須条件と言えます。様々な事を言う人がいますが、それには2020年に始る義務基準では到底足りない。もっと高い性能でないと快適な環境は作れないからです。国を挙げてのゼロエネルギーハウスの推進で、創エネと相殺すればプラスマイナスゼロになると言う発想も、いかにも表面上は正しい判断のように見えるのですが、根底に「ほんとうの快適性能が確保できているか」という部分が抜け落ちてしまうと、いつの間にか迷走してしまいます。なぜならば、性能はそこそこに発電量を過大に設定すれば、性能を余り上げなくともゼロエネルギーハウスの体裁は整うからです。数値の上で誤摩化す住まいは、私たちにほんとうの快適を提供してくれません。もっと言えば、「九州は暖かいからこの程度で…」という断熱レベルではほんとうの快適ではないのです。そう言う住まいを新機軸のように語っても嘘ではないかもしれません、もちろんそれまでに比べれば快適と思えるのだから。ただ、ことはヒートショックで命を奪われかねない住まいのレベルからの脱却です。数段一気に飛び越えて、ハイレベルを望まなければ、実感としてほんとうの快適にはほど遠いと言いたいと思います。
良く、例えば冬の快適を著すために、「暖かい」ではなくて「寒くない」であるべきだと私などは良く言います。夏は逆に「涼しい」ではなくて「暑くない」がよいのです。経験をしなくてはにわかに理解しにくいのですが、ほんとうの高性能住宅は、冬は皆さんが思うより低い温度で快適に暮らせ、夏は皆さんの思いより遥か高い温度でも、不快に思わず快適に暮らす事が出来るのです。室温と言う見慣れた数字だけでなく、体感温度というひとつの物差しを軸に考えるとそう言う解説が成り立ちます。(つづく)
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