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沸騰列島「日本」にあっての憂うつ。4

 住まいづくりの業界の人間の一人として切実にに思うのは、職人さんの不足です。大工さんはもとより、左官さん、製作家具屋さん、建具屋さんなどが日に日に減っていっているように思えてなりません。この先どうやって木造住宅を成立させていくかと言う事は様々な問題を含み難しい問題ですが、真剣に考えないともうすぐそこには差し迫って深刻な状況が見えていると言えます。職人さんを育てるのか、工法を進化させていくのか二者択一だと思うのですが、どちらも差し迫った変化の兆しは見えてきません。いくら我々が絵を描いても、つくれる人がいない時代も来ないと見限らないのです。

 また、一般的な軸在来工法と言われる今の木造のつくり方と、伝統的な日本の木造の工法を同じものだと誤解されている方も少なくありません。実は別物です。もはや伝統工法で住まいを一から建てる為の大工さんなどというと、益々いらっしゃらないのです。軸在来工法は、言わば戦後の日米折衷方式で、土台を基礎の上に横に敷き、それに柱を突き立ていく方法は、そもそも日本にはなかった(日本は束石に直接立っている石場建て)工法です。それが、足元の剛性を確保し、剛性を向上するのには良かったのですが、基礎と土台によって床下に湿気が溜まりやすい工法になってしまった。その問題は完全な解決には至っていません。今も基準法上に、強固にする為に連なっている基礎に、換気用の穴をあけろと文言が残っているのは、その時の矛盾の名残です。基礎断熱工法が出てきた20年以上も前の事、この法律には随分悩まされて現場で検査官と良く喧嘩したものです。やがて、非合法だろうが我々のようにつくり始めていた基礎断熱の事例の方が利に叶っている事が証明されて、その後非合法のレッテルは取り払われて今に至ります。つまり、まだまだ日本の住まいは恐れずに変わっていくべきなのだと思います。

 この二つの点から、私は日本の住まいはいまだ発展途上で、まだ大きく進化して構わないのではないかと思っています。伝統を振りかざす人ほど、この辺りの整理が出来ていない方が多い。勿論、伝統の守るべき事はしっかり守っていくべきです。社寺の現場が建築のスタートだった私にとっては、それは当り前の事です。(つづく)

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| 住まいづくりのヒント | 07:19 | comments(0) | trackbacks(0) |
沸騰列島「日本」にあっての憂うつ。3

 エアコン嫌いの人の理由は、主に冬の気流よる過乾燥感と夏の下半身の冷えだと思います。女性に圧倒的に嫌われる。しかしこの理由とて、エアコン自体が悪い訳ではないのです。そもそもが、エアコンが効くレベルの家になっていない。効かないから力任せになり、この嫌われる理由は増幅しているのが現状なのです。29℃で設定という快適なお宅の冷房のお話しを冒頭でしましたが、そんな使い方をされる方は殆どいないと思います。効かないから、設定温度は夕方からどんどん下げられて、最強運転を強いられる。エアコンも可哀想なものです。

 気密・断熱がしっかり施されている空間では、室内空気の温度を適正にするだけで、床・壁・天井の面温度がついてくるので容易に快適が得られます。空気の温度を一変させてつくる事は、本来、エアコンの一番得意分野なのです。面温度が外の影響で悪さをするから、その分をカバーしなければならない為に、極端な温度設定をしなければならない状況から、本来のエアコンの能力が引き出せる住まいづくりに変えていかなければなりません。未だに、鎌倉末期の兼好法師のつぶやきの呪縛から逃れられずに、「夏を旨とすべし」とスカスカな家をつくり、エアコンを使わない暮らしをしっかり提案出来ていればまだしも、あとから家電屋さんが巨大なエアコンを部屋ごとに付けて回るといった悲劇?いやもはや喜劇を、早々に終らせませんか。スカスカで良いというならば、まもなく終る平成の御世に、納得する空調の方法を示してほしい。言葉遊びはもうやめて、しっかりと「高気密高断熱住宅」のさらなる進化系を加速推進していくべきなのです。(つづく)

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| 住まいづくりのヒント | 07:16 | comments(0) | trackbacks(0) |
沸騰列島「日本」にあっての憂うつ。2

 25年前の「高気密高断熱住宅」と言う言葉は、一般の方達にはかなり抵抗がありました。「毒ガス室を作っている」と揶揄されたものです。勿論、適切な換気システムが入っている高気密高断熱住宅は、今でも圧倒的に多いスカスカの換気計画のされていない住宅より室内環境が良いことは実証されていましたので怯みませんでしたが、まあひどい扱いでした。最近、昔の仕事を見て頂くと「こんな昔から省エネ住宅をつくられていたんですね」と言われるのですが、何の事はない。私が創っていたのは「高気密高断熱住宅」であり、今も「高気密高断熱住宅」を創りつづけているのです。

 時代が変わり、耳障りの良い言葉が生き残り、抵抗のある言葉はマーケティングから抹殺されていきます。ただ、明らかに日本のスカスカな住宅を、気密と断熱の性能を向上させて創れば、それはすなわち快適であり、消費エネルギーを軽減できる住まいになってくると言う事の証しなのです。言葉は恐ろしいですね。いつかまた、省エネやエコハウスにも手垢がつけば、別の言葉が創り出されていくのかもしれませんが、ここに実は意外な落とし穴もある事を意識していかなければなりません。「高気密高断熱住宅」と呼ばれていた頃は、この二つの要素はどちらも切っても切れない関係、性能も耐久性もバランスが崩れれば問題を起こす事を口やかましく諸先輩に叩き込まれましたが、「省エネ住宅」ではそこが見えてきません。「省エネ住宅」を看板に、全棟個々に気密測定を行わない「贋物」が、いまだ巷に沢山存在する事は、今後の高性能化に伴う住まいの問題としていつまでも残っていく事だと思ったりします。(つづく)

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| 住まいづくりのヒント | 07:27 | comments(0) | trackbacks(0) |
沸騰列島「日本」にあっての憂うつ。1

 熱中症が多発する沸騰列島「日本」ですが、皆さんお身体大丈夫でしょうか。「未だかつてない」という想定外を意味する表現ばかりが目立ちますが、要は予測不可能な状況が頻発する近年の気象傾向は、何らかの理由によってこれまでの観測データの例年傾向では予測不可能な振れ幅に激変していると言う事なのだと想います。「地球温暖化」と言う言葉はずいぶん手垢のついてしまった言葉ですが、産業革命以降のこの地球の大きな変化といえば、我々人類が化石燃料を駆使して便利な社会を構築してそれを謳歌しつづけていると言う事で、これと地球温暖化との因果関係は、誰しも否定は出来ないのではないかと想います。

 一方、その大変化の渦中にあって、私たち個人の私的な感覚はなかなか変わっていきません。住まいづくりにおいても、「エアコンは電気代がかかって勿体ない」「うちはスカスカだから、風の通りは良い」などいう言葉を良く聞きますし、「屋内でじっと我慢」をしているお年寄りが、たくさん救急搬送されていく現状を見聞きするにつけ、もっともっと啓蒙を加速しなければと思わないではいられません。

 例えば、個人が建てる木造住宅においても、劇的な変化に追随する対策は沢山あります。この6月に竣工した住まいでは、この夏29℃設定のエアコン一台で窓を開けずに快適に過ごす暮らしが続いています。無位無官の私がいくら騒いでも遅々として進まないことはわかっていますが、日本の住まいももっと加速して、進歩させなければならないと想う今日この頃です。(つづく)

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| 住まいづくりのヒント | 07:04 | comments(0) | trackbacks(0) |
夏に効く! 断熱  5

 ここまでの酷暑となれば、生半可な断熱では効かないということは、感覚的にご理解頂けるかもしれません。なのに、皆さんの認識では、「断熱は冬のものだから、余りやり過ぎると夏は蒸れてかえって過ごしにくい」という誤解も多いので、なかなか断熱性能の向上が進まない現状があります。この酷暑の中、閉め切って29℃で快適な住まいが実現できているお引き渡し間近の案件のことを冒頭で紹介しました。記述に間違いはありません。29℃だという事です。断熱性能が良い住まいほど、夏は高い室温でも快適であり、冬は低い温度でも快適なのです。これは、いわゆる体感温度には、壁床天井の面温度が大きく影響していることから、その面温度が室温、つまり空間の空気の温度に近ければ近いほど、快適だと言う事が出来ます。断熱性能が高いと言う事は、内外の温度差をキープする能力が高いと言う事です。すなわち、空間を包んでいる内皮の温度も室温に限りなく近くなってくると言う事なのです。

 この手の高性能住宅の弊社の例でいうと、ご家族に寄る個人差はありますが、冬は20℃から22℃くらいまで、夏は27℃から℃くらいまでの巾で快適だと言われますので、一般的な住まいよりも夏はより高い温度で、冬はより低い温度で快適だと言う事になります。そうなれば、自ずと冷暖房エネルギーも更に小さくて済む事になるし、結果的に快適でエコだと言う事になるのです。

 様々な実例を経験して言える事ですが、高性能はいくとこまですべていった方がすべてうまく行く。中途半端なものほど、いろいろと問題が起きてくるようにも思います。そういう意味では、パッシブハウスの基準を20年以上前に定められたファイスト博士の思いはやはり正しく、先見の明に富んでいると今更ながら思います。2020年の基準ですら、まだまだ低すぎるこの国の環境下にあって、ひとっ飛びに全部を高性能にしていく事はなかなか難しい事ですが、少しでもそうなるように、語り、手を動かしていきたいと思います。(おわり)

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| 住まいづくりのヒント | 07:16 | comments(0) | trackbacks(0) |
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