CALENDAR
S M T W T F S
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30      
<< June 2019 >>
SEO対策
解析
MOBILE
qrcode
ARCHIVES
CATEGORIES
小さい事はイイこと、かもしれない。4

 日本の住まいが、本当の快適レベルになかなか達しない原因として、まずは皆さんが本当の快適性の担保された住まいを知らない事と、「坪単価×床面積=予算」という公式に当てはめられた予算感覚で、目には見えない「性能」が後回しにされているとこを書いてきました。

 最近の私はそこにメスを入れて、従来のプランの規模をもう一度見直すことを実践しています。2年前に糸島で竣工した「終の住処」は、リタイアを控えたご夫婦と長年ご一緒のワンちゃんのために、子供さんたちの帰省や来客用のゲストルームも備えた29坪の住まいをご提案したし、まもなく竣工する「HOUSE-M」では、福岡市内の狭小地に建つ27坪を切るご家族4人のための住まいを提案しています。勿論、万人がゆとりを持って暮らすスペースとしては、もっと大きくても良いのかもしれませんが、冒頭の公式「坪単価×床面積=予算」の床面積の部分を少しでもスリム化すれば、同じ総予算でも坪単価は上げられ、本来後回しと言うよりも最優先課題の性能に関しても、予算がかけられるという好循環が始まります。

 そもそも、一度自然界から切り分けて、自らの空間とした室内は、暮らしている限り暖めたり冷やしたりし続けなければなりません。建てる時にそれを真剣に考えれば、やはり暮らしのヴォリウムは極力小さい事のほうが有利であると言う事が出来るのです。かつて高度成長期の頃あった、火消し纏を先頭に法被姿の音楽家山本直純さんが「大きい事はいい事だ!」というキャッチーな言葉をメロディーに乗せて闊歩するテレビCMをご記憶の方もいらっしゃるかもしれません。昔から「大は小を兼ねる」ともいいます。がしかし、本当にそのままで良いのでしょうか。いわゆる消費を煽り、経済を肥大化しつづけることで右肩上がりの社会を維持してきたこの国は、本当はそろそろすでに下り坂をおり始めているという事を謙虚に認める方が良いのではないかと思うのです。しかも、高度成長で少しずつ規模だけは膨らんで豊かになった筈の住文化は、豊かで暖かい家族を育んできたかという疑問もあります。こう考えて行くと逆に「小さい」ということに、かすかな光明がある事も考えて良いのではないかと思い始めているのです。(つづく)

JUGEMテーマ:建築

◆↓読まれたらココをポチッとお願いします!

にほんブログ村 住まいブログ エコ住宅へ
にほんブログ村

※あなたのPC・スマホからのワンクリックが励みです。笑

 ←ここも!ここも!

| 住まいづくりのヒント | 07:03 | comments(0) | trackbacks(0) |
小さい事はイイこと、かもしれない。3

 これまでお話ししてきたように、日本の住まいづくりは戦後のスクラップアンドビルドの象徴のようなかたちで、質より量で押し通して行くような生産体制のもと、20年で建て直すような、しかも住まい手としては快適とは言い難い性能の住まいを何十年ものローンを組んで作るという負のルーティンを繰り返してきました。快適・省エネという言葉は乱舞していますが、ふと気が付けは、夏は灼熱地獄となるから2階は使えない、冬は寒いから茶の間から他の部屋にはいきたくない、間取りを色々考えたけど実質この住まいは何坪の家だという使い方をされている住まいがまだまだ建っているのです。

 ひとえにこれは、余りにもそれが当り前になってしまって本来の性能、つまり本当の「快適」と言う状況を味わった事がない人が大半であるという事が大きな原因かもしれません。知らされていないのです。あげくに冬はお風呂で脳卒中だ、夏は室内で熱中症だと住まいが凶器になる始末。いよいよもって早急に、この負のルーティンから抜け出さなければいけないと私などは思います。

 「何坪くらいの住まいがほしいの?」「で予算は?」という坪単価×床面積=予算という公式のみで住まいづくりが語られ、結局帳尻が合わないから、「そうは言ってもここは九州だからね。暖かいから、そこまでの性能は…」と訳の分からない会話は日々繰り返されています。健康被害が出る可能性のある住まいを、「そこまではいらない」という認識で作り続ける業界も大変な罪つくりですが、プロとて「知らない」「間違っている」方もまだまだ多いと言う事なのです。私は良く、先ほどのお話をします。35坪の総2階の家で、夏2階が使えないなら、その家の実質床面積は17.5坪、冬10畳のリビング以外は極寒だからみんなそこにいるなんて言う事になれば、それは5坪です。35坪の家でも夏17,5坪、冬5坪しか使えないなら、意味がなくないですか?と。こう書けば皆さん納得ですが、実は殆どの住まいでこんな事が起こっているのです。HEAT20のG2グレードは、これまでの部分間欠暖房のエネルギーで、全館連続暖房が実質叶う性能を定義しています。つまり、消費エネルギーが増えないで住まいの隅々までが同じ環境に出来る。弊社の下限グレードは、そう言う意味を持ちます。国の省エネ基準などはそれよりもっともっと下のレベルなので、まだまだ季節て背目減りしてしまう住まいになってしまうと言う事なのです。(つづく)

JUGEMテーマ:建築

◆↓読まれたらココをポチッとお願いします!

にほんブログ村 住まいブログ エコ住宅へ
にほんブログ村

※あなたのPC・スマホからのワンクリックが励みです。笑

 ←ここも!ここも!

| 住まいづくりのヒント | 07:06 | comments(0) | trackbacks(0) |
小さい事はイイこと、かもしれない。2

 戦後の住宅建設を俯瞰すると、ひとつ言える事は、敗戦で焼け野原になり圧倒的な住宅不足に陥った上に、平和の訪れで人口増加も相まって、住宅供給が国家的プロジェクトになったいきさつが、未ださほど変化もなく業界の主軸であると言う事かもしれません。いわゆる大手ハウスメーカーは、当時の住宅産業の名残であるし、圧倒的数の新築住宅の量産システムは、国交省もそれを主軸に考えていかなければならない状態でここまで来ています。質はともかくとして、まずは量を確保する事が命題だったのですが、すでに規模も生産力も縮小傾向にあるこの国が、その業態を維持している事自体、大きな違和感としか言いようがないのです。「質」より「量」を未だにやっている。私にはどうしてもそう思えてしまいます。一番の問題は、そういう75年間ですから、質の基準が一般の方にはほぼ見えていないこと言う事なのです。

 「省エネ」「快適」と言う言葉が近年この業界でも沢山使われて、様々な場面で連呼される度に、基準が見えていない一般の方は、「そうかこれが省エネか、快適か」と注目して感心するのですが、果たしてそれが本当の意味で省エネで快適かという判断基準がないものだから、薄っぺらい空回りで終っている場合も少なくないのです。言葉先行のそういう傾向は、一業界の人間として、胸が痛みます。

 折しも、国交省の基準が甘過ぎるゆえに、先を見越さなければと建ち上がった建材メーカーや研究者の団体「HAET20」は、これまで省エネ基準よりハイレベルな、G1、G2というグレードを指し示してきた団体です。弊社はこの国の示す基準より高いG2グレードを近年の仕事の性能の下限としてきていますが、この度G3グレードを発表しました。かなりハイレベルな基準になっている事はおいおいご紹介しますが、本来はこういう動きが国や業界全体で加速しなければ嘘なのですが、現状としては、まだまだコアな動きで一般の方は知る由もないと言うのが現状なのです。

 こういう流れの中で、規模と坪単価で予算が見られてきて、コスト調整で「性能」という部分が切り捨てられてしまっている住まいづくりがまだまだ多い事は由々しき事態です。しかも、一般の方は物差しがないのですから、省エネ・快適の言葉が連呼されているだけでそんなものだと思ってしまう。逆に、省エネ・快適と言う言葉で建物の更新を加速させ、またスクラップアンドビルドが続けられるなどと言う事では、本当にいつまでも負のルーティンからは抜けられません。何とかここを抜けなければと、いつも想っているのです。(つづく)

JUGEMテーマ:建築

◆↓読まれたらココをポチッとお願いします!

にほんブログ村 住まいブログ エコ住宅へ
にほんブログ村

※あなたのPC・スマホからのワンクリックが励みです。笑

 ←ここも!ここも!

| 住まいづくりのヒント | 06:35 | comments(0) | trackbacks(0) |
小さい事はイイこと、かもしれない。1

 年金2000万不足問題から端を発して、将来設計に暗雲立ちこめる世相の中、10月には消費税増税と庶民には何だか「好景気」などというお題目とはほど遠い空気感が漂っています。まあ、100年安心などいうこれまでの年金制度のプロパガンダを盲信している人も少ないとは思いますが、少なくとも、この国は人口増加と高度成長期の若々しい右肩上がりの時期を終えて、人口減少、少子高齢化、経済の安定から緩やかな縮小の時代へ変化して行っている事は間違いないと思います。経済界や政治家は、そう言う事は認めたくなくて、今でも実態とは少し異なる脚色を加えつづけていますが、むしろ私たちが直感的に肌で感じているものの方が、真実ではないかと思わないではいられません。2016年に世に出た、平田オリザさんの著書「下り坂をそろそろと下る」は私たちにその現実と対処の方向性を示唆しているものですが、以来この国は表面上、どうも違った方向へひた走り続けているようにも思えて心配なのです。国威高揚と真実とはズレのある情報が出回る状況は、かつての行き詰まりから戦争へ突入した戦前の暗黒の時代ともオーバーラップします。

 ひとりのものづくり屋として、私はそういう世相の中で色々と思いめぐらす訳ですが、住まいづくりという分野においても、未だ戦後の高度成長期、バブル時代から終始一貫してきたスクラップアンドビルド(建てては壊し)の土建立国的な風潮がなかなか拭えず、地に足がついたとは言い難い量産体制を押し進める住まいづくりが巾を利かせている事には少し辟易としています。住まいを消費するものと位置づけて、10%もの消費税を課して建設予算から国がそれをみかじめる異常な状態にあって、少なくとも私たちひとりひとりが心から安らぐ住まいを考える時にどう言う知恵を使ったら良いかをずっと考えています。今回は、そんなお話をしてみたいと思います。(つづく)

JUGEMテーマ:建築

◆↓読まれたらココをポチッとお願いします!

にほんブログ村 住まいブログ エコ住宅へ
にほんブログ村

※あなたのPC・スマホからのワンクリックが励みです。笑

 ←ここも!ここも!

| 住まいづくりのヒント | 06:55 | comments(0) | trackbacks(0) |
エアコンが効かない・・・からの脱出。5

 さて、この稿の最後になります。皆さんが日常的に使用している家電のエアコンは、当初クーラーとして高度成長期の家電三種の神器のひとつとして私たちの生活に普及してきました。つまり6、70年の中で急速に広まったもので、歴史はそう古くはありません.またこの国の住まいは、穏やかな気候風土のもと、伝統的に木軸に簡易な建具を設えた、言わば雨風をしのぐ程度の簡易なつくりで、気密・断熱という室内の空気を担保する配慮が施されていた訳ではないので、スカスカの籠のような空間で出入り中のの中空気の温度を力任せに上げ下げするというミスマッチングの歴史から始まったと言う事が出来るのだと思います。そう言う意味ではこの30年でようやく温熱性能の事が言われ始めてきた訳ですから、本来の効果的な使い方は、まさにこれからと言っても過言ではないのです。

 エアコンが効かない。効くと不快だというお話しは、そこここで聞こえて来るお話しですが、こういう背景のもとに建物の性能に関しては語られる事なく、新参のエアコンばかりが悪者にされてきて、数々の誤解も生まれている状況を把握する事で、効率的なエアコンを利用して省エネで快適な住まいの実現が始まるということではないかと思います。

 エアコンを効率的に使用するためには、まず内外の空気を一旦区切るためにね気密性能が問われ、外聞の影響から守るためと、面温度を空気の温度について来させるために断熱性能が問われます。このベースがあってはじめて、熱交換換気システムなどの性能が発揮されて、極めて小さなエネルギーで室温をキープ、体感的にも快適が得られるようになってくるのです。このバランスを整えて行くと、夏は皆さんの思う室温よりまだ高い温度でも快適が得られ、冬はその逆、より低い温度でも快適が得られると言う事になります。

 エアコンの発明から普及、そして住まいの高性能化が始まり、これからようやくエアコンの本領発揮の時代がやってきたと言っても良いかもしれません。(おわり) 

JUGEMテーマ:建築

◆↓読まれたらココをポチッとお願いします!

にほんブログ村 住まいブログ エコ住宅へ
にほんブログ村

※あなたのPC・スマホからのワンクリックが励みです。笑

 ←ここも!ここも!

| 住まいづくりのヒント | 06:26 | comments(0) | trackbacks(0) |
| 1/6PAGES | >>