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熱中症へ注意!「安全装置としての住まい」1

 梅雨の時期が随分短くて、あけたと思ったらいきなりの熱帯夜です。いよいよ「熱中症」という言葉が連日記事に踊る季節になりましたが、実はこの熱中症が案外「宅内」つまり家の中で起きている事をご存知でしょうか。「我が家はスカスカで冬寒い」という実感は、これまでの一般的な戸建て住宅に暮らす方の共通認識で、冬に住まいの温熱性能を語る場面も多いと思います。ただ、九州にいる私が思うのは、むしろ温熱性能はこの夏の方ではないかと思ったりするのです。  

 一般的に「断熱」は、寒さ対策だと完全に誤解されているので、一般の方はスカスカの家にいても夏は危険だとは思わないのです。むしろそれが夏向きの家だと思い込んでいる。ただ、実際には宅内の「熱中症」が発生してしまうほどに過酷な環境になってしまっていることが多いのです。体温に迫る気温となれば、いくら自然通風で少しばかり空気を動かしたところで、料は得られません。

 その事を正確に理解すれば、「ここは九州だから、暖かいから、断熱はこれくらいで充分」などという台詞は絶対に出て来ません。プロでもそう言う事をいう方がまだまだいますが、実際には逆なんです。「国の基準」も何だかなぁですし、実際の近年の過酷な夏に関してもう少し真摯に取り組まなければ、健康被害はこれから増えるのではないかと予想されます。今回は、注意喚起の意味も込めて、そういうことを少しお話ししましょう。(つづく)

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| 住まいづくりのヒント | 07:18 | comments(0) | trackbacks(0) |
住まいづくりに込めていくもの。5

 おじいちゃんたちにご用意したお部屋はベッド暮らしに相応して以前の畳間でなくフローリングの洋間です。全く別の設えですが、床柱を採用したお仏壇の入る場所は、向きも位置も旧宅になぞらえてあります。そして、お仏壇に向かう時に正座が厳しくなってきているので、低い座面の椅子に座り礼拝できるようにお仏壇自体の高さを工夫しています。経机のレベルから少し床上げして設えました。感覚的に旧宅の位置や方位を踏襲し、以前より楽な礼拝を可能にしています。

 極論を言ってしまえば、ただ頑丈で高性能な「箱」を求めるのであれば、私たちの存在は必要ないのかもしれません。規格化して、一律の箱を沢山安く創れば良い。今の資本主義社会の一番得意といる部分で供給してけば良いのかもしれません。ただ、「住まい」となればそうではない部分が沢山あります。もっと言えば、近年感じる社会のゆがみは、そういう一面から観た価値観のみで効率化が図られた弊害ではないだろうかと思ったりもします。住まい手の思い、作り手ひとりひとりの思い、企画立案から完成まで沢山の人の思いを介在して形作られていく住まいと言うものは、単純な企画の箱ではあり得ない複雑な個性を持っているべきものなのだと思います。

 お客様が、何年も、何十年もその住まいを大切にされ、自らの住処として定めて手入れをしながら暮らしていくためには、そこに愛着と言うものが湧かなければなりません。愛着は、人の思いです。まさに思いの連携こそが、その住まいを何十年も存在させるのだと思ったりします。今回のHOUSE-Mにも、様々な思いを沢山埋め込みました。私だけではなく、関わった人ひとりひとりの思いも含めて形にしてきたと思います。私は住まいづくりで大切なのは「プロセス」だと良く言いますが、まさに住まい手を中心としたプロセスづくりを交通整理しながら、沢山の素敵なエピソードを埋め込んでいき、住まい手の暮らしの中でそのエピソードが時々顔を除かせ、暮らしを豊かにしていくような住まいづくりをする事が、私の仕事だと考えています。(おわり)

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| 住まいづくりのヒント | 07:31 | comments(0) | trackbacks(0) |
住まいづくりに込めていくもの。4

 さて、このようにして、沢山の思いを住まいづくりに込めていきます。自ら旧宅を建てて、この土地に根付き、ご家族を守ってきたおじいちゃんの思いを、旧宅の床柱を移植する事で時系列が繋がるように企画し、またそれに答えるように現代の職人魂が自分の技を精一杯駆使して、その仕立てに答えていきます。ご高齢の方の新居への引っ越しは、かなりのストレスである事はこれまでの私の経験値でも自明な事ですが、それをなるべく緩和していくものは、こういう時系列をぷっつりと切らずに繋げていく事にあると思います。要は過去がぷっつりとなくなって、新しい環境への適応が難しいゆえに戸惑ってしまうのです。間取りも表現は現代風で異なりますが、旧宅の間取りをなぞるように、座る向きや起居動線も何となく近い部分を残しています。計画当初ご家族にはこの事を私は説明して、全く違う住まいになりますが、それでもおじいちゃんおばあちゃんに違和感がない工夫をさせてほしいと語っていました。

 自分の建てた旧宅が取り壊されていく現場を、しばしば遠くから眺めているおじいちゃんの姿がありました.私は何度かお声をかけました。「何か取り置きしておく材はないですか?」と伺うと照れ笑いをして「いやぁ、大工は余り物で自分の家を建てるから、良い材なんかないと」と言われていました。ただ、その見守る視線が何とも切なくて、私たちは床柱の事を思いついたのです。

 いつしか仮住まいから現場におじいちゃんが頻繁に来られるようになって、現場の職人さんとも言葉を交わすようになられて、ぉジィちゃんは自分の家の実感を少しずつ固めていったかもしれません。そして、完成間近の床柱の事。ご家族や私が懸念したことは払拭されて、今はにぎやかな新生活を謳歌されています。(つづく)

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| 住まいづくりのヒント | 07:15 | comments(0) | trackbacks(0) |
住まいづくりに込めていくもの。3

 この床柱に関しては、もうひとつ、エピソードが加わりました。おじいちゃんがその再生を大変喜んでくださった事は前述の通りですが、その再生までにはもっと沢山の人の思いが反映されています。私の指令に従って、旧宅の解体時にこの床柱をレスキューしてくれた現場主任のS氏、そして仏壇の脇柱の納まりを一緒に検討してくれた大工さんD棟梁。そして実際に床柱の再生に取り組んでくださった家具建具などの指物担当のKご夫妻です。私は以前も古民家のリフォームなどで経験があるのですが、柱に残された枘穴や仕口の傷は、充分に歴史の重みを見せてくれるし、設えとしてはおかしくないので無理せずそのまま残して構わないと言う指示をしていました。ところが、写真を観てください。真ん中編に四角く埋木をした形跡がわかりませんか?ここにはかつて長押(なげし)と言う横に走る材がかぶっていて、はずされてそのあと大きな窪みがあったのですが、奇麗に埋木が施されています。Kご夫妻は、この床柱の再生に当たって私がそのままで良いと言った部分を、それでは忍びないと表面の玉彫りの部分まで見事に再生されて近い木目の材を周りにあわせて彫刻し、えぐられた部分をまるで元々そうであったかのように埋木して見事に再生してくださったのです。おそらくは、途中からメラメラと食人魂に火がついたのではないかと思います。常から色々な場面で、私の仕事の中で丁寧な仕事ぶりを発揮して私の仕事をサポートしてくださっているKご夫妻ですが、今回もまたその匠の技と思いを感じる事が出来ました。

 私は住まいづくりを企画立案し、現場が始まってからは監理者としてその全体をまとめる役割を果たします。住まい手の代弁者として思いをその住まいに埋め込んでいくとともに、その住まいに携わる沢山の人たちの気持も、また埋め込んでいく役割があると思います。最近は、実際に誰がどんな感覚で手を下したかわからないような住まいづくりもあるようですが、果たしてそれで良いのかと思ったりします。(つづく) 

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| 住まいづくりのヒント | 07:21 | comments(0) | trackbacks(0) |
住まいづくりに込めていくもの。2

 先日お披露目をしたHOUSE-Mでも、私は色々なものをミニマルなしごとの中に埋め込みました。写真は何だとお思いですか?実は、もともとの土地にあった解体した旧宅の座敷の床の間の床柱なのです。この家のおじいちゃんは、ずっと大工さんとして仕事をされてきた職人仇のおじいちゃんです。旧宅もおじいちゃんの手によって建てられたもの。色々なリサーチの中から、子どもたちが旧宅での暮らしの時代のこの床柱の思い出を語ってくれました。おじいちゃんは良く、この柱を磨きなさいと事あるごとに子どもたちに言われたそうです。皆さんとのアイデアで、おじいちゃんには内緒で、この床柱を再生する事になりました。元々は、50年前の前面に玉彫りを施したニスの塗られたテカテカのものでした。今回のHOUSE-Mにあわせるために、一回ニスを全てはぎ取り含浸性の塗料との馴染みを良くして、他の部材と同じカラーに染め直しました。おじいちゃんたちのお部屋の仏壇の角に。ちょうど以前のお宅と同じ方向の位置に、この床柱を再生して使用したのです。

 おじいちゃんには完成までサプライズでお知らせしない方針でしたが、仕上げ工事も終盤になったある日、夜に現場にご家族と訪れて出来上がりを確認しに来られたときの事。暗がりでこの柱の前で立ち止まられて「あれ?これは」と声を上げられました。暗さで確認はし辛い筈だったのですが、触られた玉彫りの感触でどうやらわかってしまったようです。娘さんに、「お前これ、使ってくれたのか…」とひと言言われました。職人気質のおじいちゃんは多くを語りませんが、その後のお会いする度の満面の笑みがすべてを物語っています。奇麗さっぱり壊して、新しいものを建ててしまえば仕事は楽です。性能にも何ら関係のない事かもしれない。ただ、この土地に自ら住まいを建てて、長年暮らしてきたおじいちゃんの時系列を思えば、誰からともなく出てきたこの床柱の再生は、ごく自然のものだったのです。(つづく)

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| 住まいづくりのヒント | 07:36 | comments(0) | trackbacks(0) |
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