巷のエコ・省エネブームに、何となく薄っぺらさを感じてしまう中、本物を模索する時に感じた事を少し書いてきました。この国の住まいの性能レベルで言えば、ほとんどのものがエコ・省エネを語るレベルに達していません。順序を間違えると迷走してしまいます。まずは万人が過不足なく「我慢のない暮らし」が出来る温熱環境を作る事が先決です。また技術的に言えば、それをキープしようと思えば、今よりも極めて高度な気密断熱性能は必須となりますので、基本性能がアップすれば、自ずと無駄なエネルギー消費は減り、エコ・省エネに貢献していくと言うものなのです。現状にお茶を濁したような今のやり方を何度繰り返し、20年やそこらでスクラップアンドビルドを繰り返していても、実は省エネには余り貢献しませんし、いつまでたってもエコ先進国には追い付いていきません。
確実に30年は遅れていると言われるこの国のエコ・省エネへの取り組みは、表面的なやってるフリでは手遅れ状態で、すでに現状を数段飛びで加速していかなければ、手遅れと言う段階にあります。日に日に世界からガラパゴス化していくこの国の住まいづくり事情を変えていくには、皆さんひとりひとりの妥協のない判断が必須となってくるのです。みなさんはすでに、本当にストレスのない温熱環境の暮らしを充分に謳歌する権利があります。そしてその技術はすでに構築されてきています。充分に実現可能です。問題なのは、情報がまだまだきちんと広がっていないという事なのですが、「経済」というフィルターが掛かってしまうとどうしてもトーンダウンして小出しになるのです。国すらむしろそれを助長しているきらいがなくもないのです。そして何よりもそのことが、つまり「皆さんの我慢」が省エネに貢献していないという状態を早く是正していきたいのです。写真は2016年に訪ねたドイツ、ダルムシュタッドにあるファーストパッシブハウスです。我慢しない省エネは、現実です。皆さんのご相談には真摯にお答えしていきます。(おわり)